印刷するマップに関するアレコレ

(2009/12/05-04:15)序文書き直し他、幾分か表記を修正しました。


 マップを使うTRPGをやってると、たまに自作のマップを作る必要にかられたりします。
 手書きで描いたりしてうまく行かないとムガーッとなるなんてえことはどんなDMでもありますよね。
 それでもずっと遊んでいるうちに、だんだん「もっと見栄えのするマップが使いたい!」という気持ちになってきませんか。なりますよね。いや、なりました。あなたはもうなったのです。はいなった! なったよ!


 そんな気持ちを抱くのは海外でも変わらないようで「マップ作成の補助をするソフト」が海外には何本か存在しています。


 とはいえ海外の製品ですから英語版。なかなか気軽に手を出すというわけには参りません。
 しかし使ってみたい。でもお金もかかるし英語。
 マップを作るためだけに? しかも英語。


 ……しかしカッコイイマップが作りたいのだ!


 ということで買い漁った結果をだらだらとレビューしてみました。
 どなたかの参考になれば幸いです。

Dundjinni

・Dundjinni Software:URL
 バトルマップ作成に特化したソフト。
 マップの見栄えもソフト自体の拡張性も優れている。

・利点

  • 優秀なグリッド管理機能。
    • 他のソフトにはない「高さによるレイヤー分け」があり、例えば「家の中」と「屋根の上」を同一ファイル上で管理できる。
      • また、グリッド線をどの高さに引くかも設定できるので、マップを見ただけで何がどの高さにあるのか把握できる。
  • マップシンボルが豊富。
    • 最初から搭載されているものは少ないが、オフィシャルで販売されている10種類のシンボルセットから必要なものを追加することで十分なバリエーションが得られる。
      • Classicは白黒の記号を使ったマップシンボル集なので、手書きの地図という形で出すならこれで十分。
      • 素材はJPGやPNGなので、それっぽい絵を描いたり3Dがいじれるなら自分で親和性の高いものを作ることもできる。
  • JAVAアプリケーションなのでMACでも使える。

・欠点

  • 1ファイル分のマップの広さは固定。
    • しかもやたらと広いので、テクスチャを使った一括塗りつぶし等をすると途端に重くなってしまう。
  • ユーザー素材を使う場合は定期的な整理・管理が必要。
    • 使わない素材をいれっぱなしにしておくと動作が重くなる。多くなるとフリーズの原因にもなりうる。
    • そもそも素材自体が画像ファイルのため、色違いなどを含めるととんでもなく多くなる。
      • 起動前に使うものを選んでおくか、必要なものが増えたら起動し直すなど、ある程度の手間をかける必要がある。
    • 素材はフォーラムやその他サイトに拡散しているため、収集にけっこう時間がかかる。

・総評

  • バトルマップを作り込むなら今のところ最良と思われる。
  • 自分で素材を追加出来るのも便利。ただし見た目が合わない可能性も……。
  • Windows Vista以降の場合、インストール・フォルダ位置に問題があるため、オフィシャルフォーラムを見てインストールしないと確実に失敗するので注意。

Fractal Mapper v8.0

・Nbos Software:URL
 総合マップ作成ソフト。
 近接戦闘距離のバトルマップから、都市マップや地方〜世界地図まで作れる。

・利点

  • 名前の通りフラクタルを表現する機能が強く、グニャグニャした海岸線とかを簡単に描くことができる。
  • マップ同士の関連付けが出来る。
    • このマップは○○地方の△△のダンジョン、このマップは□□の街の◇◇の家、のような形でリンクさせることが出来る。
  • 総投資額は一番安く済む。

・欠点

  • マップシンボルが少ない。
    • 基本的なところは揃っているが、バトルマップを作るには不足している。
  • 追加シンボルもあまりない。
    • 絵柄が割と特徴的なので、ユーザー素材とのかみ合いが悪くなりがち。
    • 同様の理由から、現代もののバトルマップを作るのが難しい。

・総評

  • 街や地方の地図をメインに作成するならオススメ。特にフラクタル線は非常に便利。
  • スケーリングと拡大縮小をうまく使わないとマップの規模が大きくなりすぎて大変なことになるので注意。

Campagin Cartographer

・Profantasy Software:URL
 高機能な総合マップ作成ソフト群。
 「Campaign Cartographer」自体は広域マップ作成ツールで、シティマップは「City Designer」、バトルマップは「Dungeon Designer」となっている。

・利点

・欠点

  • 高い。
    • 個々が別のソフトでそれぞれ約$30するため、全部揃えると非常に高く付く。
    • 一部を抜き出して使うとしても、単品が他のソフトと同じだけする計算に……。
  • 操作性が悪い。
    • 独特の操作のせいで普通のグラフィックソフトを扱うよりも難しい。

・総評

  • 非常にきれいなマップが作るには、相応の慣れとセンスが要求される。手軽とは言い難い。
    • つまりプロ仕様と言える。
  • TRPGの一部分としてのマップにどこまでお金を掛けられるか。

Tile Designerシリーズ

・0one Games:URL
 簡単にマップタイルを作成できるシリーズ。
 ダンジョンタイルのような6*6の小マップを作り、それをいくつも組み合わせて使うという発想で作られている。

・利点

  • 手軽。
    • 今回紹介する中で一番操作が簡単。
    • さらにPDFファイルなので、Adobe Reader以外のインストールは必要としない。
  • 最低限にして十分な素材。
    • 特殊なマップシンボルなどをミニチュアなどで代替すれば十分実用に足る。

・欠点

  • 作り直せる形で保存できない。
    • 組み上げたマップを画像として出力するため、閉じた後から直したいところが出てきた場合は最初から作り直しになってしまう。
  • 単体では完結しない。
    • 複数のTile Designerを組み合わせる前提で作られているので、単品で作れるタイルの幅はあまり広くない。
  • 場当たり的な作成は難しい。
    • 6*6しか広さがないので大雑把な下書きなどの準備は別途必要となる。

・総評

  • 簡便な操作と最小限の素材。
    • 基本的に迷わないので、手軽に色々作れる。Dundjinniと組み合わせて表現力を広げるのが良さそう。
      • というか古河はそのように使っています。

ペーパークラフトシリーズ

・WorldWorksGames URL
・Fat Dragon Games URL
 ちょっと番外気味ですが、ペーパークラフトによる三次元マップ。
 製作の手間は多いがインパクトは絶大。複数社が出しているが、その中でもクオリティの高い二社をここでは紹介。

・利点

  • インパクトが大きい。
    • 机の上に3次元のマップが出現するインパクトはすさまじい。なんとなく盛り上がる。
  • 組み合わせによる表現力が高い。
    • マップ自体のパーツ数が多く、組み合わせ次第でいろいろなマップを作ることが出来る。

・欠点

  • そこそこ高い。
  • 手間が多い。
    • 工作をしなければならないため、それなりに時間も手間もかかってしまう。一度作れば使い回しは効く。
      • しかし切り取りや折りの指示がアバウトなものもあって、最初は作るの自体迷うかも。
  • 新規のパーツを作って足すことが難しいので、特殊な素材は代替するしかない。

・総評

  • ハイクオリティ・ハイコスト(これは値段の問題だけではなく)。
    • ある程度の差はあるが、WorldWorksの商品は総じてハイクオリティでその分高くつく。
      • あんまり使わないようなものでも手間が代わらないのが苦しい。
      • 特に「MAYHEM MEGAMALL」。これは格別に凶悪で、二人がかりで組み立てて2〜3時間かかる部屋を6個+α組み合わせるという構成。恐ろしく効率が悪い。ショッピングモールでゾンビ退治したい! という気持ちだけでガンバルには少し無理がある。
    • Fat Dragon Gamesの商品はWorldWorksほどではないが安定したクオリティで比較的安価。特にDRAGONSHIREシリーズは値段の割にやたらと出来が良い。
      • EZ-TERRAINSは他社が出していないウィルダネスのペーパークラフトという珍しい商品。使い勝手も割と良い。
      • また、DRAGON TILESは2Dのタイルと3Dのペーパークラフトを組み合わせてあるため、他の商品よりは手間が少ない。
  • とは言え、http://www.dwarvenforge.com/store/home.php:Title=DWARVEN FORGE製品がイエサブで買えなくなってしまったので、投資額をほどほどに抑えて3Dマップを! と考えるとこの選択肢は悪くない。
  • どの商品も使い回しは容易。
    • 工作の前にペーパーセメントなどを準備しておくと良い。
    • うまく保存しないと湿気などで簡単にダメになってしまうので注意。

最後に。

 改めてざーっと俯瞰してみると、やっぱり画像処理のソフトなので手軽に高機能というのは難しいようです。
 まあそれでも1本あたり数十ドル。いわゆるグラフィックソフトと比べれば非常に安くまとまっているはず。
 「こいつが宝の地図だぜ」って雰囲気あるマップが出てきたらプレイヤーもちょっとうれしいんじゃないかなと思いますので、いつものゲームにちょっとした変化を付けてみたい時に、試してみるのも一興ではないでしょうか。