"Amethyst: Foundation"其の二

 「エルフ」は人に近いか、否か。彼らは芸術的な思想の具現だ――神は美を意図し、しかし常にその結果に落胆を覚える。もしかすると彼らは、アダムの、猿の血を引く輩の末裔なのかも知れぬ。アイデンは旅の間、このような冗句を幾たびか聞かされた。狂信者どもが人間を世界の中心であるとか、滅ぼす価値のあるものとしている。歴史を通して、芸術家たちは人の本質を捉えてはいない。彼らはしばしば理想化されたイメージ、彼らがどこかでそう見たいと考えているものを掴んでしまう。エルフを描く時、彼らは気まぐれな想像を働かせた――彼らはまさに想像通りに見えたのだ。男性は刻み込まれた容貌で権威を意のままにし、女性は周囲の目を引くように彫刻された。

第二章「Amethystの種族」章扉より

 “白の門”が開き、地球に魔法がなだれ込んで500年。
 地球はすでに人間だけのものではなく、いくつかの種族が勢力を伸ばし、覇権を競っています。

  • Fae Races / フェイの血統

 生まれつき魔法の中で育った彼らは、辿るべき始祖を持たず、魔法の気まぐれに支配されています。時が経つにつれ彼らは「退化」を続け、より部族的、動物的になっています。また、DamaskanやLaudenian、Narrosのように何らかの始祖を持つ種族、そしてどこにも近縁を持たない存在であるTillenのようなものも含まれています。
 フェイの血統に連なる種族はフェイの種族特徴を持ちます。つまり通常の病気にはかからず、浅い眠りにまどろみ、鉄と鉛に弱いのです。

    • シャパラン / Chaparrans

 シャパランは森と木々の中で暮らす原始的なフェイです。いわゆる「ワイルド・エルフ」というイメージでしょうか。ダンスや音楽、肉体を動かすことを好みます。逆に文章を書くことは好みません。弓を得意とし、森の中では奇襲を受けない能力を持ちます。また遭遇毎パワーとして木から木へとテレポートすることができます。

    • ダマスカン / Damaskans

 古の帝国、ダマシア / Damasia。彼らはその末裔です。フェイの中ではかなり文化的な種族で、通常の五倍の速度で筆記できる速記法を身につけています*1。広範な知識を持ち、知識判定に大きなアドバンテージを持ちます。また素早い身のこなしも特徴で、遭遇毎パワーとして重力を知り尽くしているかのように跳躍と登攀にアドバンテージを得ます。

    • ジムフェン / Gimfen

 ジムフェンは小さな身体を持つ比較的短命の種族です。好奇心旺盛な彼らはさまざまなフェイのコミュニティにとけ込んでおり、その交流の架け橋となっています。手先が器用で技術への親和性が高く、E.D.F.*2の影響を比較的軽くしか受けません。また、伏せ状態からの行動など、特殊な状況への対応能力を持ちます。

    • ローデニアン / Laudenians

 ローデニアンは非常に長命で聡明な種族で、自らを真なるフェイの始祖と考えています。彼らはかつて浮遊都市ネットワークを築き上げ、空を支配していましたが、それらはかの『第一鉄槌 / First Hammer』によって失われました。彼らは魔法に長け、特に儀式を得意とします。彼らの身体は軽く、高所からの落下を用意にやり過ごします。また、遭遇パワーとして敵の周囲を回り込むことができます。

    • ナロス / Narros

 ナロスは洞窟に住まうフェイで、非常に頑強な肉体を持ちます。オーケン / Oaken――大地の奥深くに棲む地球の精霊を奉じており、ナロスは空を飛ぶことはオーケンの怒りを買うと考えています。彼らは総じて戦闘に長け、輩を守るために果敢に戦います。また遭遇毎パワーとして、HPを失って気絶する直前に反撃を喰らわせることができます。

    • ティレン / Tilen

 ティレンは謎に満ちたフェイです。“黒の門”の向こう側、イクシンダー / Ixindarからあふれ出した死霊の力を得た彼らは、血を喰らう呪われた生を持つようになりました。彼らは陽光の下では活動を阻害され、生命も通常の手段では回復しづらくなっています。その代わり彼らは遭遇毎パワーとして、つかんだ相手から血を奪って生命を回復することができます。

  • Evoleved Races / 進化種族

 ヒューマンは地球において唯一、魔法の補助を必要としない知性を築き上げている種族です。大災害から500年、現在は約4百万の人間が日々を生き延びています。ヒューマンはそれぞれの利害の元で戦っていますが、特に大きな組織として天使の軍勢“クリムゾン・スターライト / Crimson Starlight”、シエラ・マドレ / Sierra Madreの諜報機関“外務省 / Ministry of Foreign Affairs”、セルカーク / Serkirkの特殊部隊“オロバス / Orobas”、最大の独立軍“ヨーク自衛軍 / York Self Defense Army”が上げられています。

    • ヒューマンは“技術耐性 / Technological Immunity”という能力を持ち、E.D.F.の影響を受けません。しかし魔法を使ったり、マジックアイテムを装備していると徐々に飽和点 / Saturation Pointが貯まっていき、これが限界に達すると技術耐性を失ってしまいます。
  • “落とし子” / Spawn Races

 “落とし子”は一度正常の進化を遂げた後、魔法の力で変異した存在です。ヒューマンとフェイの間の子供でなくとも、フェイでもヒューマンでもない種族はすべて“落とし子”とされています。Amethystのルールブックではモンスター以外にHalf-Faeが紹介されています。

    • ハーフ・フェイ / Falf-Fae

 フェイとフェイ、ヒューマンとフェイの間にできた子供の総称です。
 ハーフ・フェイは社会を形成できるほど多くの人口を持ちません。そのためフェイたちが現れた直後から、彼らはヒューマンの社会でもフェイの社会でも種族差別の対象となることがあります。ハーフ・フェイは自分たちを「ミナーン / Minaan*3」や「メシナーン / Mesinaan*4」と名乗ることがあります。

    • フェイとフェイの間の子供の場合、ジムフェン>ダマスカン>ナロス>シャパラン>ローデニアンの順に血が優先されます。また、どちらかの親がティレンであった場合、子供は必ずティレンとして生まれます。

 フェイとヒューマンの間の子供であった場合、フェイの親に応じた種族特徴を得るか、人間と同様に特技ボーナスを得ることができます*5が、技術耐性は得られません。また、この場合でもどちらかの親がティレンだった場合、子供はかならずティレンとして生まれます。


 はてさて意外と混迷してるAmethystですが、社会背景はどーなってるんでしょうか。
 今回もたくさんよくわかんないフレーズが出てきましたが、その辺ひっくるめて其の三で引っ張り出してみようと思います。

*1:残念ながら呪文を呪文書に写す時には使えません。

*2:Echan Disruption Field。魔法によって科学法則が阻害される効果。

*3:ダマシア語で「二人への贈り物」の意味。

*4:ローデニア語で「違うからこその強さ」の意味。

*5:パワー数のボーナスはない模様。あれ?